遠回り文化
数年前のことです。職場とは関係ないセミナーのようなところで、知人に出会いました。あまり話したことない方ですので、ご挨拶だけにとどめようとしていたら、長々と話されました。脚色して再現します。
最近引っ越した。パソコンみたいな大きなものは行方不明にならない。小物がどっかに行ってしまった。メガネの予備がなぜかバスルームにあった。お気に入りのペンがなくなった。仕方ないので、今日、ここに来る前にデパートで買った。急いでいたのでそのペンをどこかに忘れてきた。ってことで、すみませんが、ペンを貸してください。
長い、長いよ、おっさん。近くの人に聞こえていたのか、最後の「ペンを貸してください」のところで、その方はコーヒーを吹き出したような感じがしました。ペンをお貸ししてから返してもらうまで、「なんでこの人はペンのことくらいで自分の日記を語るのか」と考えていました。最近、またその方とすれ違ったので、このことを思い出しました。拙者の脳内では「ペンのおっさん」です。
考えたのです。もしかすると、世界は広いのでこういう文化はあるかもしれないと。つまり、いきなり「ペンを貸してくれ」ではなくて、そこに行くまでにわざと遠回りして話す文化もあるかも … ということです。そのペンのおっさんはおそらく日本に住んでいる日本人だと思いますが、遠回り文化の人なんです、きっと。
遠回り文化は日本の中にもあります。☆30分で食べられる料理をわざわざ小さく分けて、2時間で食べる。これは料理と空間、そしておしゃべりを楽しむ文化ですね。きらいじゃないです。☆テレビの情報番組をわざわざクイズ形式にして、正解はCMのあとに流す。これは拙者をテレビから遠ざけました。☆なんでバスがこの団地を経由するんじゃごらるぁ。すみません、すごく個人的なことです。
さきほどのペンの話ですが、遠回り文化に従って拙者がペンを貸すとこうなります: これ、ゲルペンですよ。油性と水性の良いとこドリなんです。太さは0.7ミリ。これがね、老眼にはやさしいんです。色はブルーブラック。印刷された黒い文字とはすぐに区別できるので見やすいですよ。でも、もしかすると、好みの問題があるかもしれないので、お貸しするのはこの油性ペンにしましょうかね。この前ホテルに泊まってきたときにもらってきたんですよ。これは備品じゃないので良いですよね。そいでね、そのホテルがね …。
うざい。自分でもうざいです。でも、遠回り文化の中では普通かもしれません。ときには余裕をもって、遠回りしてみますかね。やりすぎると、要件を一発で伝えられないアホな人と思われかねませんが。
дать ― дайте
ручка ― ручку.
記事をここで終えます。
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初めましてコメント致します。
2004年卒のものです。
事情があって外大のある先生の連絡先を調べていたところ、
先生のブログを発見しました。
私もペンのおっさん系説明をたまにしてるかも(仕事で)と思うとドキ、です。
時と場合によると思いますが空気は読める人間にならんとな~、
と考えさせられます。
投稿: xoposhenki | 2011年2月10日 (木) 14時20分